医師と重ねた対話で気持ちが軽くなった

軽度認知障害(MCI)と診断されて、漠然とした不安があるとき、本人や家族は、医師とどう関わればいいのでしょうか。今回はMCIと診断された70歳代男性の奥様にお話を伺いました。

更新日:2026.05.28

● この体験談のポイント

定年退職を目前に控えて表面化してきた夫の変化。当事者の夫はもちろん、自分自身も不安や葛藤を抱える中、軽度認知障害(MCI)と診断され、紹介された(精神科の)専門医。何度でも丁寧に説明してくれ、冗談も交えながら話してくれる医師との診療を重ねる中でどのような気持ちの変化があったのでしょうか?

受診のきっかけは、車の運転

「あれ?」ということが続いたのは夫が定年退職で会社を辞める1年ほど前でした。車の運転で「あれ?」と思うことや、いつも行っている娘の家やラーメン屋さんに行けなくなったり、請求書が放置されていたり、というようなことがありました。これはおかしいな、と思い、息子を交え、主人と話し合った結果、医療機関を受診することにしました。MCIと診断され、専門医を紹介いただきました。

医師と重ねた対話で気持ちが軽くなった

「どん底に落ちそうな気分」って主人は感じていたようです。紹介された専門医は「言うべきことは言う、間違ったことは言わない」という印象で、信頼できる方でしたし、とりわけ主人には合っていたようです。MCIと診断されてがっかりしている私たちに、いろいろと情報をくださいました。どんなことを聞いても丁寧に、私たちが理解できるように何度でも説明してくださり、冗談もたくさん交えながらお話ししてくださったおかげで、気持ちが少し軽くなった気がします。

食事や運動など、これからできる事に加えて薬による治療の説明も受けましたが、私たちは医療の知識がなかったので、副作用というと「いきなり大きな副作用が出るのではないか」と感じていました。検査をしながら徐々に薬を使用していくことを、先生が何度も説明してくださったおかげで、治療の大まかな流れを理解するようになりました。そのおかげで、「あとは夫が決めることだ」、と思えるようになりました。

未知数のMCIと前向きに向き合っていく

夫が定年退職後、こんなことになるなんて、と信じがたい思いがありました。わからないことだらけで、先生から教えていただくことの一つひとつが初めて知るものばかりでした。最初は、「何を聞いていいかわからない」と感じ、戸惑うこともありましたが、何を聞いても、冗談もいっぱい交えながら丁寧に説明してくださるし、こんな質問して良くなかったのではと思うことは全くありませんでした。この病気は未知数なところがあって、この先どんな風に進行していくかわからないところはあるんですが、なんとかこの状態を維持してくれればと思っています。医師との信頼関係はとても大切なので、たとえ先生が変わっても、これまでのことや家族の思いを大切にしていただきながら、私は変わらずに夫の治療を支えていきたいと考えています。

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